まだどこにもない価値を作り、関わるすべての人を笑顔にする。
そんな一瞬を作るために、わたしたち自身が妥協せずに「本気で遊ぶ」という文化があります。
では、どんな風に、どれくらい本気で遊んでいるのか?
2014年にオープンした浜北スイーツ・コミュニティ「nicoe」誕生までのストーリーを例にご紹介します。

裏コンセプトは脱・うなぎパイ。nicoe誕生のきっかけ

2005年の「うなぎパイファクトリー」のオープンから約10年弱が経ち、お菓子を通して、子どもたちが「夢見る」、大人たちが「ときめく」場所を新たに作りたい。
そして構想したのが、「お菓子の新しい文化とスタイルを発信する、浜北スイーツ・コミュニティ」nicoeです。
裏コンセプトは「脱・うなぎパイ」。訪れた人の意表をつき、驚かせ、感動させる。うなぎパイが実現しているような価値を場としても体現したいと考え、nicoe実現という大人たちによる大規模な遊びの計画が始まりました。

各事業部から「本気」を持ち寄ったプロジェクトチーム

まずは社内でプロジェクトメンバーを募集し、nicoe事業部を発足するところから始まりました。
集まったのは、関わる人を喜ばせることに本気なメンバーたち。
nicoe事業部を筆頭に、既存の部署でもnicoe実現のための動きが始まりました。
企画部は、ブランドコンセプトの作成やパッケージデザインを手掛け、nicoeオープンに際して立ち上げた新ブランド「五穀屋」のロゴを100パターン以上も考案。
製造部は、nicoeで販売する和洋菓子の商品化に向けて試作と製造を担当し、さらには和菓子の実演販売まで計画。
経理部は、ゼロから事業計画を立てていく中で、売上額の期待値を高く設定。
総務部は、「表現力やエンターテイメント性のある接客」を目指してnicoeで働くスタッフをイチから育成。
経営管理室社長室はnicoe完成までのスケジュール管理とプロモーション戦略を担当。
プロジェクトメンバー総勢で国内の主要なテーマパークを体験したり、東北の雑穀や醤油の生産者を訪ねたりといった現地視察や情報収集も重ねました。
既存の事業と並行して初めて試みる大規模なプロジェクトの中、思い通りにいかずつまずくシーンも多々ありました。しかし、各プロジェクトメンバーがユーモアなアイデアと前向きな気持ちを絶やさず、部署の垣根を超えて一致団結で完成に向かいました。

名だたるクリエイターたちとのコラボ

お菓子のお店として機能するだけでなく、nicoeの空間全体を楽しく心地よいものにしたい。
そのために、nicoe内のあらゆるクリエイティブにオリジナリティ溢れるユニークさを宿し、とっておきの世界観とクオリティに仕上げようと決意しました。
そこでご協力いただいたのが、さまざまな分野で日本を牽引するプロフェッショナルなクリエイターの面々。
食やデザイン、各分野のプロフェッショナルの方々にオファーをし、その才能の掛け合わせでオリジナリティ溢れるnicoeの世界観が生まれました。
2ティ溢れるnicoeの世界観が生まれました。
2つの円を重ねたロゴマーク、それぞれのブランドコンセプトを反映したスタッフのユニフォーム、スペースごとにセレクトされた音楽、「咲く。香る。そよぐ。癒される。」がテーマの植栽、ロゴをモチーフにしたサイネージ…全てに各プロフェッショナルたちの遊び心が宿っています。
nicoeには、関わる方を笑顔にすることに本気な大人たちの、遊び心を持ち寄った結果が詰まっています。

nicoeに詰まったこだわりを詳しく見る

nicoeオープンが、更なる本気の遊びを生んだ

こうしてオープンしたnicoe。しかし、生み出した事業を継続し、さらに大きく育てるまでが「大人の本気」です。
そしてこのnicoeオープンは、2021年にオープンした、建物自体が「家族団らんの食卓」をモチーフとし、日本一行きたくなるオフィスと掲げたSWEETS BANKオープンという、更なる本気の遊びのエンジンとなっています。

社内・社外の垣根を超えて、プロフェッショナルを巻き込み、1つ1つを最高のクオリティで創りあげる。それがわたしたちの遊び方、まだない価値の作り方です。

IT化、機械化する世の中で、わたしたちは「本物を重ねる」お菓子作りの姿勢を貫く。
それは、効率ではなく「つながりこそが人生を豊かにする」という信念があるからです。
ここでは、わたしたちがどのように本物を重ね、人生を豊かにするつながりづくりと向き合っているか、お菓子作りの流れに沿ってご紹介します。

素材は農家に出向いて直接仕入れる

お菓子に仕様するフルーツや穀物などの素材は、わたしたちが直接農家さんに出向いて仕入れることを大事にしています。
仕入れ業者の方にお任せすることもありますが、その素材がどのように育てられているか、どんな方が育てているのかをわたしたち自身の目で見て話を伺うことで、味にも質にもイチからこだわった商品をお客様にお届けします。
そして、わたしたちのお菓子を通して、素晴らしい農家さんが育てる素材そのものの良さをお客様に知っていただくきっかけにもなりたいと考えています。

職人による手作業でのお菓子作り

春華堂は、手づくりでなければ守れない美味しさは、機械に頼らず「職人の手わざ」にて作り出すということを大切に守っています。
工場見学でお客様にご覧いただくこともできるように、1日20万本、年間約8000万本の売り上げを誇るうなぎパイも、生地の仕込みから焼き上げまで、一枚一枚職人の手作業によるもの。
また、熟練の職人から若手へとその技を継承していくために、「心・技・体」揃った職人の「師範」となるまでの育成制度を設けています(師範制度)。
どの業界でも時代とともに減少していく「職人の手わざ」にこだわり、その背景まで含めた本物の美味しさを届けます。

一度出した商品の仕様変更は基本NG

一度発売した商品の仕様変更は基本的に行いません。なぜなら、これまでそのお菓子を愛してくださった方をがっかりさせてしまいかねないから。
それでも、万が一製造過程において安全性や味はもちろん、見た目も含めて商品の質を欠いてしまうような問題が起きてしまった場合は、販売をストップし課題が改善されてから販売を再開することもあります。
細かなところまで一切妥協せず、自信を持って本当に良いと言える商品を企画し、それが完成して初めてお客様にお届けする。だからこそ、発売したら極力仕様は変えないということを貫いています。

お菓子をお届けする空間そのものにも、喜びを詰め込んで。

わたしたちの仕事は、お菓子を作るだけにとどまりません。
お取引先に春華堂やお菓子の長所をお伝えし、陳列棚をチェックする営業。
マニュアルだけではなく、目の前のお客様、その先のお客様を想った商品のご紹介やご相談に乗る接客。
長い期間と大きな予算をかけてでもデザイン性を追求したnicoeやSWEETS BANK。
お菓子を持ち帰っていただくまでの時間をかけがえのないものにする、営業・販売の場作りもわたしたちの「職人技」です。

一次生産者から職人、社員、販売員と、想いのこもった手仕事を重ね、その工程を一切端折らないことで、真の感動があるものを生み出していきます。

わたしたちは今、変革の真っ只中。
うなぎパイという定番商品を持ち、伝統を守ることを重じてきたわたしたちでしたが、nicoeオープンの計画が動き始めた頃から、「変革」をお菓子そのものだけではなく、お菓子を通じた体験そのものにするという動きにシフトチェンジをしています。
その中で、メンバー自ら新しいアイデアを生み、かたちにしていく、経営陣を育成する制度づくりに着手するなど、メンバーがこれまで以上に幅広い挑戦をできる環境を整えています。
ここでは、実際のメンバーの活躍を例に、春華堂での挑戦の環境をご紹介します。

入社半年で社長室勤務に

ブランド戦略室 企画開発チーム係長・池谷千咲さん

2011年の新卒入社後、直営部に配属となった池谷さんは、うなぎパイファクトリーでお菓子作りや接客・販売についての研修を半年間受けた後、社長室へ異動に。
役員の直属で、経営陣の参加する様々な会議や出張に同席、nicoeオープンの準備、それに伴い社外のデザイナー、パティシエとのコミュニケーションなど、1年目から経営の意思決定を目の前で見る立場を経験。

池谷さんコメント

「毎日違う挑戦の連続で、勉強になっています。関わるすべての人を笑顔にするのって、『一瞬』にかかっていると思うんです。これからもそれを体現していくためには、伝統を大事にするだけではなくて、新しいことに挑んでいく力強さも必要だと感じます。」

職人、コンシェルジュ、、さまざまな職種を経験

直営部 次長・林慎司さん

2011年に新卒入社し、製造部のうなぎパイ職人からスタートした林さん。
うなぎパイ生誕50周年記念プロジェクトで、うなぎパイファクトリーの新ツアー立ち上げに参画し、直営部に異動。うなぎパイファクトリーでの勤務後、社長室を経てnicoeプロジェクトのメンバーに抜擢されました。
「料理もできないのに職人が務まるのか」と感じたという入社時から、部署を飛び越え、変革を起こしてきたいメンバーとまだそれに慣れていないメンバーの両者とも関わるなかでさまざまな分野で活躍。

林さんコメント

「就職活動を進める中で抱いた、生まれ育った地元浜松の人々への感謝の気持ちから、地域創生を志し、浜松に戻って就職しようと決めました。春華堂を目的地に日本中からお客様が来る、そんな場所にしたいんです。そのためにはオリジナルのアイデアが大事。新しいアイデアはたくさんあります。」

新卒2年目で全社MVPに

SWEETS BANK SHOP 春華堂 店長・鈴木郁美さん

2020年に新卒入社した鈴木さんは、nicoe春華堂のスタッフを経て入社1年でSWEETS BANK SHOP 春華堂の店長に。持ち前の笑顔と特技のダンスを生かし、接客や店舗運営に止まらず「うなぎのじゅもん踊ってみた」という新しいPR企画の誕生に貢献。お店や会社のミッションに向かうなかで、鈴木さんだからこその強みも発揮しています。入社2年目の社内の表彰式では、1年で最も活躍したメンバーに贈られるMVPに輝きました。

鈴木さんコメント

「就職試験で披露したうなぎのじゅもんダンスを常務が覚えていてくださり、入社してすぐにダンスを撮影していただく機会がありました。SNSを使ってうなぎのじゅもん踊ってみたキャンペーンを行い、当選者にはうなぎパイキャリーをプレゼントするという企画を新人メンバーで行いました。新人ながら機会を与えてくださり挑戦させていただけることが春華堂のすばらしいところだと思います。」

歴史の長い企業だと、「年功序列で成長の実感や新しいことへのチャレンジもしづらそう」というイメージを持たれることもありますが、これからの春華堂には若いうちから自らのアイデアや能力を形にしていく場があると感じ取っていただけると幸いです。
わたしたちは、ここからさらにお菓子を通して「人生を豊かにする、つながりを生む」という方向性に向かっていきます。
その挑戦に共感し、共に目指していくなかで自らのアイデアを形にしたいという方、春華堂でお待ちしています。

「思いやりと規律」。これは経営陣を中心に春華堂に根付いている言葉です。
関わる相手の方と出会い、触れ合うことのできる一瞬で笑顔を生むためには、その相手の気持ちを瞬時に考えられる思いやりの心が必要不可欠。
一方で、どんなに相手を思いやる心を持っていても、行動で示すことができなければお相手の方に喜びの体験を感じていただくことはできません。
どんな時でも思いやりある行動を保つため、これまでの経験をもとにした規律を重んじることも大切だと、わたしたちは考えています。
ここでは、相手を思いやる心が規律として根付いた、わたしたちの日頃からの心がけをいくつかご紹介します。

来客者は特別なお茶でおもてなし

お土産など、「贈り物」としてのお菓子を届ける春華堂。お取引するお客様にも静岡県外の方も大勢いらっしゃいます。そんな方々が来社された際に徹底していることがあります。それは、静岡の名産である日本茶でおもてなしをすること。それも、地元のお抹茶が入ったお茶をお出ししています。日本茶は和菓子のお供でもあります。静岡の会社、その中でもわたしたちだからこその方法で、御来社いただく時間を特別で心地よい時間にしていただきたいという想いを込めています。

何ごとにも「自分ごと」の姿勢でいること

課題やミスが生じた時には、個人の業務として線引きをせず、当事者意識をもって「自分ごと」と捉えること。仲間に寄り添ってチームとして連携して取り組むことを重んじています。そのため、お客様から対応したことのないオーダーを受けた際も、「できない」とお断りするのではなく、「その方に喜んでいただくにはどうすればよいか」を考える姿勢が根付いています。また、ミスが起こって自身が損害を受けたとしても、まずは相手に寄り添ってそのミスを解決する方法を共に探ることを心がけています。何事も無関心にならず、自分ごととして向き合うのがわたしたちの姿勢です。

ピリつきと和やかさのバランスを大切にした雰囲気づくり

本気で関わる人の笑顔を生むためには、時にピリッとした空気で話し合うことも必要だと考えています。特に会議の場などで、なあなあな雰囲気に妥協せず、厳しい意見もはっきりと言うことを徹底しています。一方で、意見が出しやすいように場を和ませること、士気を高めるために元気に挨拶をすることも意識しています。この雰囲気づくりは、その場のリーダーが率先して行うという文化も根付いています。

プレシャスモーメントの意識付け

nicoeの接客テーマである「プレシャスモーメント」
nicoeでは、朝礼時に「プレシャスモーメント」を体現するための12ヶ条の復唱を行います。
お客様の気持ちを考え、私たちができることやお客様との向き合い方が示された12ヶ条を毎朝復唱することで、いつでもお客様に気持ちよく、幸せな気持ちになっていただける接客をするための心構えを整えています。

「規律」というと温かみのない無機質な言葉にも聞こえがちですが、わたしたちは、最後には笑顔を生むための「思いやり」としての規律を追求しています。
「人生を豊かにするつながりを生む」という志を実現するためには、思いやりの気持ちを持つこと、規律に従うことのどちらが欠けても成立しないと考えています。

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